いちご同盟
三田 誠広
作者:
三田 誠広
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内容概要
中学三年生の良一は、同級生の野球部のエース・徹也を通じて、重症の腫瘍で入院中の少女・直美を知る。徹也は対抗試合に全力を尽くして直美を力づけ、良一もよい話し相手になって彼女を慰める。ある日、直美が突然良一に言った。「あたしと、心中しない?」ガラス細工のように繊細な少年の日の恋愛と友情、生と死をリリカルに描いた長篇。
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病院には独特の臭いがある。
建物の中に入った瞬間、つんと鼻を突く消毒薬の臭い・・・・。それだけではない。すれちがう患者や看護婦や見舞客の表情、身のこなし、声を殺したような会話、そうしたもののすべてが、息のつまるようなひんやりとした雰囲気をかもしだす。
病気の臭い、あるいは、死の臭いといってもいい。
傷のない処に痛みはない。僕にとって、認識することは、生身を抉ることであり、血を流すことであった。そして今、僕の誠実さの切尖が最後の心臓に擬せられたからとて、僕は躊躇うだろうか。
純潔。――この最も兇暴な自我主義。