占いと中国古代の社会
2011-12
東方書店
工藤 元男
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巫風豊かな楚地に生まれ、秦漢帝国を媒介として各地に伝播し、解体していった中国古代の占卜(占い)文化。前半では『史記』に登場する「日者」(占い師)の世界観を探り、近年注目される占卜書「日書」の出土状況を概観する。さらに秦漢帝国における国家と占卜の結びつきや、尹湾簡牘に残された地方官吏の日記から読み取れる出張と占卜、睡虎地秦簡「日書」などにみられる行旅と占卜の関わりを、具体的な資料を紹介しつつ明らかにする。後半では、「卜筮祭祷簡」と呼ばれる民俗宗教文書の性格を通じて「日書」の淵源に迫るほか、秦漢時代の法律と占卜とを比較することにより、古代社会の統治における「法」と「習俗」の現実的な関係を検証する。
工藤 元男
1950年生まれ。1982年早稲田大学博士後期課程単位取得退学、(文学)博士,早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。
凡例
プロローグ
第一章 長安東市の日者
第二章 「日書」の発見
一、戦国時代の「日書」
二、秦代の「日書」
三、漢代の「日書」
四、日者、日者列伝、「日書」の関係
第三章 国家と占卜
一、秦国と占卜
二、前漢文帝と亀卜
三、前漢武帝と占卜
四、王莽・曹丕の禅譲劇と建除
附 孔府と建除
第四章 官吏と出張と占卜
一、「元延二年日記」簡介
二、師饒の出張と宿泊
三、師饒の出張と占卜
三、羽山行
四、「暦譜」、「視日」、「質日」
第五章 行旅と占卜
一、文献史料にみえる漢代の行神と祖道
二、「日書」における先秦時代の行神と祖道
三、反論の検証
第六章 「卜筮祭祷簡」と貞人.貞卜
一、楚地の巫風
二、包山楚簡「卜筮祭祷簡」
三、歳貞と疾病貞
四、包山楚簡からみた楚国の封君と世族の動向
五、秦国・楚国における路線の岐路──律令をめぐって
附 宜昌の国際シンポジウム
第七章 「卜筮祭祷簡」から「日書」へ
一、「卜筮祭祷簡」の疾病貞と「日書」の卜疾病
二、九店楚簡「告武夷」篇と「日書」
三、最古の「卜筮祭祷簡」──平夜君成墓楚簡
第八章 移風易俗と法
一、法治と移風易俗
二、睡虎地秦簡からみた法と習俗
三、秦漢田律と「日書」
エピローグ
注
あとがき
図引用一覧
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