どぶさらい劇場

1999-07  

青林堂  

山野一  

資産家の一人娘で女子大生の、葦屋エリ子はある日、 手取り13万8千円のさえない工員をひき逃げした罪で逮捕される。 エリ子は３ヶ月の拘留の後釈放されるが、７千万の賠償金を 抱えることとなる。７千万など葦屋家の資産からみれば、ほんの はした金だったのだが、父の会社が倒産し、夜逃げすることになる。 当然の事ながら、被害者の妻、まさみは興信所を使って夜逃げ先を 突き止め、賠償金を請求する。ところが、まさみのあまりの高慢な態度に逆上したエリ子は、 まさみを包丁で刺し殺そうとするが、 逆に人質として被害者家族の家に拉致される。

山野一
1961年、福岡県生まれ。幼少期は三重県四日市市で過ごす。中学時代に千葉県へ引越し、ここで青年期を過ごす。高校時代は天文学部に所属。大学は立教大学文学部に入学。大学3年から4年の時期にかけて、入部していた美術クラブで漫画を描き始める。1983年「月刊ガロ」12月号掲載の『ハピネスインビニール』でデビューした。
人間関係がプレッシャーとなる山野は、元々会社員になるつもりが無く、他人との接触が少ない漫画家を職業として選んだ。以上のことを吉永嘉明とのインタビューで語っている。
初期は雑誌「ガロ」を主な活躍の場として、精神や知覚をテーマにした作品を多く扱う。また1980年代後半からは主に廃頽した生活環境にある人々を主人公とした作品が増える。1990年代前半は、雑誌「リイドコミック」を主な活躍の場とし、色気の多い作品を主に描く。1998年、ねこぢるが死去してからは、主な名義を「ねこぢるy」としてねこぢるの作風を受け継いだ作品を描いている。

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