沖縄の戦後思想を考える
2011-9-22
岩波書店
鹿野 政直
敗戦以来「占領」という檻のなかで,また72年の復帰以降は「日本」という枠のなかで,沖縄の人びとは基地の重圧と対峙し続ける厳しい現実を生きてきた.そこで培われてきた豊かな思想的達成をいかに受けとめ,そこから発せられる問いにいかに応えるか.真摯な課題意識と深い共感をもって生き生きと描き出す戦後沖縄の思想像.
鹿野政直(かの まさなお)
1931年,大阪府に生れる.1953年,早稲田大学文学部卒業.同大学院を経て,1958年から99年まで早稲田大学文学部に教員として勤務.現在,早稲田大学名誉教授.専攻は,日本近現代史,思想史.
『戦後沖縄の思想像』(朝日新聞社,1987年),『沖縄の淵 伊波普猷とその時代』(岩波書店,1993年),『現代日本女性史』(有斐閣,2004年),『岩波新書の歴史』(岩波新書,2006年),『近代国家を構想した思想家たち』 『近代社会と格闘した思想家たち』(ともに岩波ジュニア新書,2005年),『鹿野政直思想史論集』全7巻(岩波書店,2007-08年)ほか,多数の著書がある.
はじめに 沖縄のいまから
Ⅰ 「占領」という檻のなかで――1945―1972
一 戦争と占領を衝く
1 沖縄戦の凝視から
2 占領を撃つ
3 抵抗としての「祖国」意識
二 焦点となった復帰
1 復帰へのうねり
2 日本を問い返す
3 反復帰の思想
4 根としての沖縄の意識化
Ⅱ 「日本」という枠のなかで――1972―2010
一 文化意識の再構築
1 琉球・沖縄のアイデンティティを求めて
2 習俗への挑戦
3 琉球圏という視野
二 問われゆく復帰
1 のしかかるヤマト
2 「自立」をめざして
3 反芻される沖縄戦
4 米軍基地の現実と復帰への問い
むすび 沖縄のいまへ
あとがき
沖縄戦後思想史年表