日本社会民主主義の形成
2013-2
日本評論社
大田 英昭
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日本における黎明期の社会民主主義の思想と運動の軌跡とその思想史的意義を片山潜の足跡を軸に考察する緻密かつ骨太な労作。
1974年生まれ。京都大学総合人間学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。博士(学術)。現在、東北師範大学(中国)歴史文化学院教授。専門は日本近代思想史。
序 章 問題の所在と研究視角の設定
第1節 近代日本における社会民主主義の問題
第2節 片山潜と社会民主主義の問題──本書の課題
■第1部 片山潜の思想形成
第1章 〈文明〉への開眼──美作の一農村における片山潜
はじめに
第1節 片山潜の故郷と生家
第2節 「鶴田騒動」における庄屋と農民の対立
第3節 開化政策の波と美作血税一揆
第4節 〈文明〉と「立身」への開眼
第2章 勤王家からキリスト者へ──片山潜の「立身」と思想形成
はじめに
第1節 悲憤慷慨の「憂国者」
第2節 渡米と立身
第3節 在米期におけるナショナリズム
第4節 キリスト教の受容──「全人類を同胞とするの主義」
第3章 片山潜における「社会改良」の論理の形成──社会問題・社会事業・社会福音・社会学
はじめに
第1節 十九世紀末米国における社会問題・社会福音・社会学
第2節 「社会問題」の認識
第3節 社会事業観
第4節 英国における労働者運動との出会い
第5節 片山潜の「社会学」
■第2部 明治日本と社会問題
第4章 日本における「社会問題」論の形成──日清戦争以前における思想的諸潮流
はじめに
第1節 社会問題に対する社会政策的アプローチ
第2節 社会問題に対する自由主義的アプローチ
第3節 社会問題に対する宗教倫理的アプローチ
第4節 文明論的問題としての社会問題
第5章 「鉄工」の思想と明治国家──日清戦後における労働組合運動の黎明
はじめに
第1節 日清戦後の社会問題──労働問題の発生
第2節 鉄工同職集団と鉄工組合
第3節 労働組合運動と「品位」
第4節 明治国家の体制秩序と鉄工組合
むすびにかえて
■第3部 片山潜と社会問題
第6章 労働運動の思想──片山潜における労働者の自治と国家
はじめに
第1節 労働問題の把握
第2節 労働組合の思想
第3節 協同組合の思想
第4節 労働運動における「政治」の問題
第5節 労働運動と秩序構想
第6節 労働組合運動の転進とその挫折
おわりに
第7章 都市の思想──日清戦後東京の都市問題と片山潜
はじめに
第1節 明治の東京の発展──その光と影
第2節 片山潜の都市政策論と東京市政
第3節 都市政策論の基本的課題とその理念
第4節 市民の自治とデモクラシー──都市政治論
第5節 都市事業と市民生活──都市経営論
第6節 都市社会主義の思想的位置
第8章 「進化」と「革命」──片山潜における社会主義思想の形成
はじめに
第1節 社会主義思想の受容──進化論を媒介として
第2節 社会主義「革命」思想の形成
第3節 『我社会主義』の概要とその課題
第4節 労働問題と「資本家制度」の分析
第5節 「進化」と「革命」の理論
■第4部 社会主義・民主主義と明治国家
第9章 日清戦後における社会民主主義の形成──片山潜を中心に
はじめに
第1節 社会民主主義運動の形成と片山潜──普通選挙運動を中心に
第2節 改良的社会政策と社会主義
第3節 社会主義者における民主主義の理論──明治憲法体制をめぐって
第10章 日露戦後における社会民主主義の再編──明治国家観をめぐって
はじめに
第1節 日本社会党の思想と活動──堺利彦を中心に
第2節 『新紀元』派の「社会民主々義」──木下尚江を中心に
第3節 国家社会主義の潮流
第4節 幸徳秋水の「直接行動」論──社会民主主義からの離脱過程
第5節 日本社会党における直接行動論と議会政策論との対立
第11章 明治末期の社会民主主義の行方──片山潜における「革命」と「改良」の隘路
はじめに
第1節 議会政策派の結集とその運動──片山潜を中心に
第2節 社会民主主義における「革命」の問題
第3節 日本社会主義の分裂と国際社会主義運動
第4節 大弾圧下における片山潜の抵抗運動
終 章 総括と展望
第1節 片山潜の半生の軌跡──「文明」と「進歩」に対する信念
第2節 明治日本における社会民主主義の思想史的意義
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