世界都市·東京のアジア系移住者
1998-3-30
学文社
田嶋淳子
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本書は1988年から1997年の10年間にわたる社会調査をもとに、都市地域社会 レベルにおけるグローバル化をとらえた実証的研究である。1988年以来の調査研究はアジア系移住者を対象とするこの分野の嚆矢をなす研究である。第１章においては、既往研究におけるグローバル化概念を明らかにし、国民国家内での社会変容が移住現象を通じて、新しい社会空間の生成へと転換していく境界のゆらぎについて指摘する。移住現象はいかなる社会においても社会変容の大きな要因として注目されており、先行研究から移住のプロセスに関する理論枠組みを提示する。第２章においては、アジア系移住者を受け入れる都市地域社会レベルでの変化がいかなる様相を示しているのかを論ずる。
第３章では東京・豊島区池袋地区の変化を３つの地域調査結果に基づき 分析する。ここでは移住のプロセスがすでに第３段階にまで達し、移住者の生活世界が新しい社会空間の形成に至っていることを実証的に示す。第４章においては東京・新宿区大久保地区における変化を２つの社会調査を通じて実証的に示す。第５章においては、東京・荒川区日暮里地区における在日韓国・朝鮮人の生活世界を他の２地域との比較の視点から実証的に示す。以上の３章を通じて、アジア系移住者世界がすでに日本の都市地域社会レベルにおいてビルト・インされているプロセスを実証的に示している。
第６章ではエスニック・ビジネスの移住者世界における社会的 機能を分析する。エスニック・ビジネスは移住の第３段階において、はじめて可視化された形で存在するようになる。中国系、韓国系エスニック・ビジネスおよびイスラム系エスニック・ビジネスの相互の連関と地域社会における展開を実証的に分析する。第７章では、これらの研究成果をふまえ、アジア系移住者の流入と定着をめぐる現状と課題について論じている。
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