本邦類書玉函祕抄・明文抄・管蠡抄の研究
2012-5-10
汲古書院
山内洋一郎 編著
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金言成句は、言語表現の華である(Ⅰ論考篇・序章より)。
編著者は前著『天草本金句集の研究』(二〇〇七)において、日本の先人たちがいかに金言成句を学び、大切にしたかを、具体的に研究したが、本書はその発展として、更に本源に迫ろうとしたものであり、漢籍
起源の金言成句がいかにして日本に受容され、書き継がれ、伝承されたかを明らかにしようとしたものである。
こうして、既に研究のある平安時代の世俗諺文を承けて、鎌倉時代の玉函秘抄・明文抄・管蠡抄、三書の徹底的な研究が、ここに形となった。三書の本文は、いずれも諸写本の中より最善を選び、中でも明文抄は、全巻揃う神宮文庫本(続群書類従所収)を修正使用するが、「復元明文抄」と称するのは、その欠巻・誤脱を数多く修正・補充訂正した結果である。また、玉函秘抄六六五句、明文抄二二六三句、管蠡抄六八九句の各則に通し番号を付し、本文末尾に註としてその出典を記し、明らかにするとともに、三書所収句索引・出典別句番号索引を付載して、利用の便を図った。
Ⅰ 論考篇
序 章 鎌倉時代の金言集まで
第一章 玉函祕抄
第一節 編者・書名・諸本〔編者 藤原良経/諸本と種々なる書名/尊経閣本の乱丁とその継承〕
第二節 所收句より見る編集法〔特定出典からの多種採録/引用句よりの採録/類似・関連による採録〕
第三節 漢籍古註よりの採録
第四節 本文の檢討
第五節 玉函祕抄と文選五臣註
第六節 玉函祕抄研究の経緯
第二章 明文抄
第一節 編者 藤原孝範
第二節 明文抄の諸本・構成・句数
第三節 先行研究の状況
第四節 神宮本から明文抄復元へ〔人倫部/人事部下/雜事部〕
第五節 書名及び「同」の誤記、誤脱〔天象部/地儀部/帝道部上/武事部〕
第六節 明文抄の採録した資料、玉函祕抄
〔引用句の継承/引用の文選句/引用の孔子家語など/引用句の書名の誤記/引用句句頭の語の表記〕
第七節 明文抄を濃く受けた拾芥抄
第八節 明文抄の東洋文庫本
第九節 出典別数表と成句数
第十節 句の原態と掲載形態
第十一節 明文抄所載の仏書・和書その他
第三章 管蠡抄
第一節 編者 菅原為長
第二節 諸本
第三節 出入・重出・存否(八卷本)
第四節 増補(十卷本第九・第十)
第五節 組織と句数
第六節 本文の注意事項
〔重出/本体(卷一~八)と増補の間の重出/山田本の留意点/漢籍古註の参照〕
Ⅱ 影印・校訂本文篇
玉函祕抄(影印 前田育徳会尊経閣文庫蔵)〔上卷・中卷・下卷〕 註
復元 明文抄(校訂本文/底本 神宮文庫蔵)〔天象部・地儀部・帝道部上・帝道部下・人倫部・人事部
上・人事部下・神道部・佛道部・文事部・武事部・諸道部・雜物部・雜事部〕 註
管蠡抄(影印 富山市立図書館山田孝雄文庫蔵 第一~第八)
(影印 古活字版本 静嘉堂文庫蔵 第九・第十) 註
Ⅲ 索引篇
類書三書所収句索引/類書三書出典別句番号索引/主要文献参考書目録
後 記
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